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焙煎修行⑫~珈琲焙煎師の肝っ玉~

さて、今回で12回目の焙煎修行。
毎回4釜以上は煎っているので、計50釜は煎っている。
2月から本格的に始めて早50釜。ありがたいことです。
なんつうか、静かに燃えてますね、ずっと。

で、今回改めて思ったこと。
それを50釜目の記念に記しておきたい。
‘珈琲焙煎心得の基本のキ’について。
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最近、中々CAFEに行く気持ちになれないと、
少し前にも書いたが、その正直な気持ちの根っこには、
「だって、大体の店が、正しくない珈琲を出しているのだもの。」
という、口に出しにくい、悲しい現実があった。

本当は以前のようにただCAFEの雰囲気を楽しみたい。
美味しい珈琲に浸りたい。何も考えず癒されたい。
一人の珈琲好きとしてマスターとお話したい。

かつて、とある珈琲店で、
「いやあ、本当にここの珈琲は美味しいですねえ。言葉を失いますねえ。」
と、もちろん何の嘘偽りない、感謝感激の気持ちを伝えた所、
「色々ウンチク言う人いますけど、珈琲なんて美味しければいいんですよ。」
とマスターは答え、その静かな佇まいに男の渋さをビンビン感じたものだ。

確かに、珈琲は美味しければ良い、のだ。
でも、その美味しさには必ず‘理由’があることを、
追求するのが、プロの珈琲マンなのだと今は思う。

『正しくない珈琲とは何か?』

はっきり言ってしまおう。
・正しいハンドピックがなされていない珈琲。
・正しい焙煎がなされていない珈琲。
・新鮮ではない古い珈琲。
である。

以上全ての条件が揃って、やっと、
珈琲本来の甘みを楽しむことが出来る。

ここに↓今回練習した、マンデリンの欠点豆の画像がある。
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毎回約500gを4回煎るので、計2kg。
このマンデリンは欠点豆が少ない美しい生豆ではあったが、
それでも55gの欠点豆が混入していた。
豆に黒い穴が開いているのは虫が食った、いわゆる虫食い豆。

焙煎して色が付くとほぼ見分けが付かなくなる。
で、大多数の珈琲店はこの作業をしていない。

今話題のスペシャルティコーヒー、立役者の一人は、
「最高級の豆には一切欠点豆は入っていない。
生産国の人間がしっかりやってくれている。
ゆえにハンドピックは不要。そんな行為は前時代的だ。」
「ハンドピックをするのはその生豆が低級な証拠だ。」
と切り捨てる。

それは嘘である。

実際は入っている。確かに皆無に近いものもあろう。
珈琲を1分でも真剣に勉強した人なら皆見抜く。
焙煎後の豆をよくよく見ればきっと分かる。

生豆を見ていたら小学生でも絶対分かる。
それなのになぜ?
なぜにそれが見えなくなるのか?
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↑上は焙煎後のマンデリン、中深煎り。
きれいでしょ?美しいでしょ?
でも見た目で判断してはいけない。

マンデリンは大粒でその独特な風味同様、
焙煎中の色付き方も他の豆とは違い独特な性質を持つ。
スマトラ式と呼ばれる独特な精製方法を経るからだ。

マンデリンを理解するにはマンデリンで腕を磨くしかない。
粒のバラつきや、その含水量の多さゆえに、
煎りムラや、芯残りしやすい豆だ。

硬い硬い生豆は、適切に焙煎されていなければ、
芯までしっかり煎ることは出来ない。
芯残りは渋みの元だ。嫌な酸味の元となる。
マンデリンの話ではなく、珈琲豆全てに通じる話。
だから焙煎機は一番大事だ。焙煎の根っこだ。

芯残りしたりしていると、ドリップした時に、
豆の表面が膨らまず、すぐに陥没したりする。
例えその時は個性的で刺激的な、
美味しげな味が出ていたとしても一時のもので、
その香りや味は、2、3日ですぐに消えてしまう。
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適正に焙煎されたものでも本来の味が楽しめるのは2週間程度。
時間が経てば豆の中の二酸化炭素と共に、香味も出て行ってしまう。
自分としては100gなら1週間程度で飲み切ることをお薦めしたい。

粉にした状態だと空気に触れる面積が大きくなり、
酸化しやすいため、つまりは劣化が早まってしまう。
珈琲は珈琲豆を飲む前に挽くのが一番美味である。
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新鮮な豆で適正にドリップすると、このようなキメ細かい泡が残る。

これは元々豆の中にあった二酸化炭素であり、
時間が経つに従って、白から茶色になっていく。
最終的にはドロリとした茶色い泡になる。
どんどん劣化している証拠である。

強調したいが、
珈琲本来の味は苦味ではない。
本当の珈琲の味は甘い。甘く感じる。

果実のような酸味に、
苦味成分のまろやかさが加わって、
甘く感じる。俺はそう感じている。

甘みを感じるのは日本人の特性でもあるそうだ。

ちなみに適正な焙煎がなされていないと、この泡は出ない。
熱い液体の状態だと分かりにくいかもしれないが、
時間が経って冷めてくると、その刺激的な苦味や酸味がのどを刺す。
そんなものが、身体にもいいわけがない。
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『正しい珈琲とは何か?』
それは、
・欠点豆がハンドピックによって取り除かれたもの。
・煎りむらや芯残りのない適正な焙煎がなされたもの。
・焙煎したての新鮮なもの。
である。

これが基本条件。
あとは生豆&抽出次第。

一杯飲めば分かるが、
眠たくなくなるどころか、癒し効果のせいか、
リラックスして眠たくなるほどだ。

正しい珈琲は何杯でも飲みたくなる。
ノド越しもすっきりしている。
だから何杯でも飲める。

↑上のようなプロ用の道具でなくても、
ちょっと一手間掛けて、お湯を沸かして、豆をドリップするだけで、
最高に豊かな時間を過ごすことが出来る。
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ちょっと、焙煎練習の方に話を戻そう。
今回の焙煎豆、マンデリン。

最近は初回のようなひどいミスもなく、
もはや、ただただ楽しみでしかない焙煎練習。
そんな自分の調子づいた心を知ってか知らぬか、
トレーニングセンター長の中川先生はポツリ。
「マンデリンはそう簡単には行きませんよ。」
ニヤリと呟く。

今日は色々と聞きたいこともあって、全然写真を撮るのを忘れてしまった。
結果的にはマンデリンもそれなりにうまくいったのだけれども、
明らかに色付きやハゼの音が分かり易い、今までの豆とは違っていた。

今後もマンデリンはマンデリンで味を追及したい。
そう思わせる、いい意味での曖昧さ&幅の広さを持った、
風味豊かな豆であった。4段階全てに良い個性が出ていた。

で。

俺が今回聞きたかったことは何かと言うと。

とてもシンプルな話で、しかしとっても大事な根っこの話で。

「ハンドピックをすれば絶対的に味は良くなるのに、
巷のほとんどの珈琲店はなぜしないのか?」

「虫食いなどの明らかな欠点豆を見ても、
その焙煎師は何も思わないのだろうか?」

「豆売りにしても、その豆が煎りたてにも関わらず膨らまないのはなぜか?
しかも劣化が早いのはなぜか?それは俺の気のせいなんだろうか?」

「バッハは昔から、‘うまい・まずい’という個人的嗜好ではなく、
‘正しい珈琲’‘よい珈琲’の定義を提唱してきて、結果もしっかり残してきて、
わざわざ本にも書いて、地道に啓蒙活動を続けて来たのに、
しかしながらの残念な、今の日本の珈琲屋の現状をどう思うのか?」

つまりは、

「俺はそんな腐った豆を見過ごしたくないけど、
それぞれの珈琲屋のファンの人だって沢山いることだし、
いちいち指摘するのも筋違いだし、気分を害することしたくないし、
……どうしたらいいんでがしょ?この気持ちの置き所は?」

つうことを、もっとザックリフランクに、
我が焙煎師匠に聞いたわけです。
中川先生の答えはシンプルでした。

「う~ん、要は自分のお店の珈琲とかあんまり飲まないんでしょうね。」
「うちの田口は自分がもっと美味しい珈琲を毎日飲みたくて、
珈琲の焙煎を始めたわけで。」
「きっと今の人たちは、そうじゃないんだと思います。」

・・・・・・。

ぬ、

ぬ、

ぬおっっっ!!!!!!

なんつうか、超合点!!

つうか、最近自分が実は、ただただ毎日、
最高に新鮮でまじりっけのない美味しい珈琲を飲みたくて、
そんな暮らしのためにも焙煎をやっていることに気付き、
そんな気持ちでいいのか?自分が最高に癒されちゃってていいのか?
もっと商売として捉えなくていいのか?とか色々思ってたんですけど。

あ、これでいいんだ。

自分が納得する生豆を、さらに適正にハンドピックして、
世界最高級の焙煎機で、煎りむら出来るだけ無くして、
芯残りしないようにきちんと煎って、飲んだら眠れなくなるどころか、
逆に眠たくなっちゃうような、そんな夢みたいな癒しの珈琲を、
欲している自分が出発点なのは正しかったんだ。
なんて思った。

>「バッハは昔から、‘うまい・まずい’という個人的嗜好ではなく、
>‘正しい珈琲’‘よい珈琲’の定義を提唱してきて、結果もしっかり残してきて、
>わざわざ本にも書いて、地道に啓蒙活動を続けて来たのに、
>しかしながらの残念な、今の日本の珈琲界の現状をどう思うのか?」

>「俺はそんな腐った豆を見過ごしたくないけど、
>それぞれの珈琲屋のファンの人だって沢山いることだし、
>いちいち指摘するのも筋違いだし、気分を害することしたくないし、
>……どうしたらいいんでがしょ?この気持ちの置き所は?」

「それはもう、人はどうあれ、自分はこうやってます。
(珈琲はこうこうこうやって出来ているものだから、
それをこういう理由でこうして焙煎して、
適正な商品として売っております。)
と伝え続けることしかないんじゃないですかね。」

と、いつも通り普通にニコニコっと、
中川先生はお話してくれたのであった。

・・・・・・。

お、

お、

男なら背中で語れ、となッッ!!!!!!

俺は改めて、
今ここで修行出来ることを誇りに思ったね。
そんなわけで、まだまだ拙い内容で、
間違いも多少はあるかもしれないけど、
ザックリフランクな‘珈琲焙煎心得の基本のキ’を記してみた。
全てはこの初心からなんだと改めて思わされたので。

『正しい珈琲』なんて、言葉からして嘘くさいわ!!
と思われることが多いだろうこのご時世、いや、いつの時代でも同じか。
だからこそ、自分の立ち位置はしっかり見据えておこうと思います。

その上の、
「珈琲は美味しければそれでいい。」
美味しい珈琲を持続的に提供できるように頑張ります。
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by roaster-SK | 2012-05-14 18:38 | 珈琲焙煎修行

~淡路島福良のしまこや珈琲~


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