中米コーヒー産地研修9日目(2012.1.23.)
グアテマラ、パナマと来て、ついに、
最後の一国、エルサルバドルへと向かう。
四国と同じ面積だという、エルサルバドル。
一体どんなお国柄なのだろうか?
エルサルバドルに飛ぶ前、パナマの空港にてコーラで乾杯。
このメンバー、皆さん人生の先輩であり、バッハ門下としても先輩。
ほとんど初対面だったわけだが、この旅のお陰で随分と仲良くなれた。
荷物持ちくらいしか出来ない自分は沢山お世話になった。
さて、旅も終盤。
有終の美を飾れるか。
パナマの空港にて、飛行機の座席がダブルブッキングされているから、
乗れないかもしれないというハプニングが勃発。
その後、何とか席は確保出来たにしろ、何だか不穏な空気。
長い列の後ろで荷物チェックを待っていると、後ろから呼ばれる。
「ジャパニーズ?」
別口に回される。一瞬不安に思ったが、列に並ばずに済むビップ待遇だった。
「我々エルサルバドルは日本に多大なる支援を頂いております。
友好関係に感謝致します。」
的なことを伝えてくれた。に、日本もやるな!!
しか~し、例のダブルブッキングのせいか、
1人の方の小さなキャリーが到着せず、1時間以上足止めを食らう。
荷物1つだけスタンバイのままパナマの空港にあるという。
(次の日にホテルまで届けさせた。)
初のエルサルバドル。
空港の入り口ですでに他の2国とは雰囲気が何か違う。
初日もお世話になった商社のO原さんと共に急ぎ足で農園に向かうが、
町の雰囲気もだいぶ違う。色彩が灰色にくすんでいる。
想像上のちょっと怖い第三国のイメージ。
どうなることやら。
道すがら、麻袋を持った少年少女、青年たち。
皆ニコニコしてはいるが、どう見ても生活は厳しそうだ。
カメラのシャッターを押すにも躊躇が生じる。
この農園ではすでに収穫は終わってしまっていた。
そのせいもあるだろうか、やはり寂しい雰囲気だ。
山そのまま原生林の生い茂る中を行く。
車酔いする人にとっては地獄だったみたいだけど。
ガタンゴトンと珈琲話に花が咲く。
左の方はY口さん。今年の夏には故郷高知県は高岡郡梼原町にて開業予定。
右の方はI飼さん。今年3月4日に自家焙煎珈琲店‘陽のあたる道’開業決定。
お二人とも海外関係のお仕事をされていた経験もあってか語学堪能。
立派なお人柄で、門下後輩としてとっても心強い先輩である。
今後とも是非切磋琢磨させて頂きたく思う。
とにかく周り一面全て山、山、山だ。
空がもっと晴れていればより絶景だろう。
その後精製工場に戻り、見学。
先生曰くエチオピアもこんな感じということだが、
きっと大部分の農園はこのような体裁なのだろうと思った。
グアテマラやパナマが最先端過ぎるのだ。
エルサルバドルと言えば、有名な品種がパカマラだが、
エチオピアには、あの素晴らしきエチオピア・イルガチェフがある。
本当にこのような環境の中で作られているのか確かめてみたい。
中米の次はエチオピア、タンザニア、ケニア辺り、
アフリカを攻めてみたいと実は思っていたりする。
まあ、いつかの夢ですよ。
一瞬で鼓動が高まる。時が止まってしまう。
こういう世界を長い間描いてきた。
日本の旅の中で。
こういう気持ちをどう珈琲に落とし込むのかも、
我が人生のもう一つの課題ではある。
まあ、もうちょっと横に置いておこう。
我々はそれをさらにハンドピックし、精度を高めていく。
「私たちはコーヒーを作っているんじゃない。
ただ精度を高めていくことしか出来ない。」
とは先生の弁。的を得た言葉だな、といちいち感心してしまう。
時間が押していたこともあって、ザッとした見学であったが、
エルサルバドルの農園の雰囲気は掴むことは出来た。
明日は別の農園に行く予定だ。
その農園とは、エルカルメン農園。
エルカルメン農園とバッハは前々から取引をしていて、
すでに何度か自分も焙煎練習で使わせて頂いている。
エルカルメンのパカマラはゲイシャのような強い個性があるわけじゃないが、
クリーンでバランスの優れた真っ正直な珈琲である。
今夜の宿はヒルトンホテルで、受付嬢はベリーキュート。
その可愛すぎる雰囲気はクセになりそうだ。さ、さすがはヒルトン。
自然とニヤついてしまっていたらしく、相方にわき腹をどつかれる。
やっぱり少しはお話したいよな~~。
夕食はO原さんお勧めの中華料理屋へ。
久々にご飯粒が食べられて幸福だった。
その後、先生の部屋で珈琲の宴。
ラスト農園前最後の晩餐会。
どうしたって慣れ親しんだ珈琲の味が一番だ。
悪い成分がない故に、リラックス効果が大きいのだろう。
本当に眠くなるんです。心が静かになる。
お店開業はまだ未定だが、人一倍珈琲を愛しているお人である。
カッコいいです、Y口さん。
先生から直々に聞く、
カフェバッハの成り立ち。先生の上京物語。
ご両親との関わりのお話を聞いていたら、しんみり泣けた。
天才(なんて言ったら怒られるが)は誰よりも孤独であり、
誰にもそんな姿を見せることもないだろうが、
筋の通った意見と歩んできた人生に改めて畏敬の念を持った、
素晴らしき感動の一夜であった。
‘珈琲晩餐会’をいずれ島にも根付かせてみせよう。
最近はめっきりお酒より珈琲だ。
珈琲は静かになれて良い。